上海株暴落が中国人セレブ直撃 長者番付1位は1.5兆円の損失…バブルに踊って重いツケ
2015.9.6 17:00
中国の株式市場の暴落で、中国の大富豪や女優ら“セレブ”が巨額の損失を被ったと相次いで
報じられている。不動産開発の大連万達集団(ワンダ・グループ)を率いる長者番付1位の王(ワン)
健(ジェ)林(リン)会長(60)は、暴落が始まる直前の6月12日に比べ総資産の3割に当たる130億
ドル(約1兆5700億円)を失ったという。電子商取引のアリババ・グループの創業者、ジャック・マー
会長(50)は8月24日の1日だけで5億5000万ドル(約660億円)が消えた。投資家としても知られ
る人気女優のヴィッキー・チャオさん(39)らも大損しており、バブルに踊った過熱投資のツケの大きさを浮き彫りにしている。
■資産の3割に相当
中国の上海株式市場では週明けの8月、代表的な指数である総合指数が前週末比8.49%安と、
約8年6カ月ぶりの下落幅を記録。一連の暴落が始まる前の6月12日に比べると、約38%もの暴落
となった。
王氏が所有するワンダ・グループの企業の株価も軒並み急落。米CNNテレビ(電子版)によると、
グループを支える不動産部門の大連万達商業地産の株価は6月12日に比べ38%下落し、王氏の
資産はこれだけで約90億ドル分が消し飛んだ。映画館チェーンのワンダシネマライン(万達電影院
線)は36%下落し42億ドル、ワンダホテル開発(万達酒店発展)は49%下落し6000万ドルの損失
が出た。
また、米経済通信社ブルームバーグが算出している億万長者指数によると、8月24日の暴落だけ
で、王氏は損失全体の3分の1に当たる36億ドルを失ったという。
四川省生まれで人民解放軍出身の王氏は、1993年にワンダのCEO(最高経営責任者)に就任。
不動産投資と欧米の優良企業の買収で資産を増やした。推定資産は426億ドルに上り、今年の
中国の長者番付「胡(こ)潤(じゅん)百富」で1位となった。中国だけでなくアジア全体でも最大の
大富豪といわれているが、3割もの資産を失い、番付を下げるのは必至だ。
さらにブルームバークが算出している億万長者指数によると、アリババ・グループのジャック・マー会長も24日だけで、5億5000万ドルの資産を失った。
■「成長率幻想捨てる」
マー会長の巻き添えを食う形になったのが、米国の著名投資家になぞらえ“中国の女ウォーレン
・バフェット”の異名を持つ人気女優のチャオさんだ。中国国営の新華社通信などによると、7月上
旬時点で保有株の価値が40億元(約756億円)も目減りしたという。チャオさんは昨年12月にアリ
ババ傘下の映画会社アリババ・ピクチャーズ・グループに投資するなどマー会長と盟友関係にある。
この株は、今年4月に2倍に跳ね上がったが、6月以降は急落。現時点の損失はさらに拡大して
いるとみられる。
米ネットメディアによると、このほか、人気女優、チャン・ツィイーさん(36)も7月上旬時点で4億7000
万元、ファン・ビンビンさん(33)は8月24、25日の2日間で2500万元の損失が出たとされる。
香港メディアによると、突出した損失を被ったワンダの王氏は27日の香港での記者会見で、自戒を
込めてこう語った。
「中国が年率7~8%という高い成長率を維持するという幻想は捨てるべきだ」(SANKEI EXPRESS)
http://www.sankei.com/premium/news/150906/prm1509060026-n1.html